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| このコーナーでは、メディカルライターの松村富代さんから、毎月1通ずつ health & beauty をテーマに素敵な手紙が届きます。 |
NICUが足りない!
寒い地方から順に紅葉前線が降りてきました。美しい山々が色づいています。山梨の甲斐駒、八ヶ岳周辺も年間を通して一番美しい季節が訪れています。でも、見ごろはもうあと1週間ほど先。11月10日過ぎがベストシーズンのようです。今月の写真は、紅葉ではなく、バスケットいっぱいの栗。今年は大豊作でした。自然の山栗は追肥しないかぎり1年おきに実るとか……近所の農家のおじさんが教えてくれました。確かに昨年は、ほとんど採れなかったと記憶しています。朝、お猿さんと競争で落ちている栗を拾い集めます。今年は栗ご飯を何度も炊きました。
さて、今月は東京都内の妊婦さんが8病院に受け入れを断られて脳出血で死亡した問題について考えてみましょう。受け入れを断った病院はいずれも総合周産期母子医療センターの機能を持ち、大都市東京の緊急時に対応できるはずの病院でした。私も今まで妊婦雑誌などで紹介し、「万が一のときにも町の産婦人科クリニックでは大病院と提携ができているので安心」などと原稿に書いてきました。
その後の朝日新聞の記事によれば、リスクの高い妊婦さんを診る全国の総合周産期母子医療センターの半数近くが、最近1ヵ月間に妊婦さんを受け入れられなかった経験があることがわかりました。新生児集中治療管理室(NICU)のベッドが空いていないことがその主な理由でした。妊婦さんが救急搬送された場合、生まれた赤ちゃんが小さかったり、呼吸が安定していなかったりして、NICUでの管理が必要になるケースが多いのです。
現在NICUは全国に2千床あるそうですが、それでも今年の7月、厚労省ではまだ千床足りないと結論付けています。足りないことがわかっているのになぜ補充できないのか……予算確保が難しい、医師不足など今後の見通しは明るいとはいえません。おりしも、親しくしている産婦人科医師からお産を年内でやめたいとの相談を受けました。分娩を扱う施設は、昨年(07年は1281施設)から今年(08年は1177施設)にかけて全国で8%(104施設)減ったことが、日本産婦人科医会の調査でわかりました。
不幸にも脳出血で亡くなった妊婦さんのご主人は、帝王切開で無事生まれたわが子を思いながらも、「死んだ妻の無念さをこれからの医療に反映して欲しい。少なくとも現在の産婦人科医たちが辞めない環境づくりをして欲しい」と、切々と訴えているのが印象的でした。そして今、日本産婦人科学会と日本救急医学会は、脳出血などの重い病気になった妊婦さんの救急救命体制を整備するための合同作業部会をようやくつくりました。はじめの一歩がスタートしようとしています。
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(メディカルアドバイザー 松村富代)
Healthy Letter from Tomiyo Vol.56 November 2008 |
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