臍帯血・公的バンクと私的バンク
今月は臍帯血についてお話します。昨年9月6日秋篠宮妃紀子さまが第3子の男の子・悠仁さまを出産され、日本中が祝福にわきました。その際、紀子さまが臍帯血の提供に同意されていたニュースは産後すぐ全国に届けられました。皇室では初めてのことでした。「日本臍帯血バンクネットワーク」によると紀子さまのご出産直後は、臍帯血に関する問い合わせが数多く届いたそうです。
臍帯というのは、妊娠中のお母さんと赤ちゃんを結ぶ強い絆「へその緒」のこと、臍帯血とは、へその緒と胎盤の中の血液のことです。臍帯血の中には、骨髄と同様に体の様々な細胞を作りだす素になる「幹細胞」がたくさん含まれています。現在は、白血病、悪性リンパ腫、再生不良性貧血などの治療に有効に利用されています。健康なママなら臍帯血バンクと提携している産院で分娩し、希望すれば提供ができます。出産時に行う臍帯血採取ですから、ママも赤ちゃんも痛みを感じることも危険もありません。
臍帯血バンクは全国に11ヵ所、さらにネットワーク事務局が存在します。これらは公的バンクと呼ばれ、厚生労働省が認可した機関です。ママの善意から発生する寄付によって運営されており、提供はもちろん無料です。
それに対して、生まれた直後の臍帯血を保管しておき、赤ちゃん本人と家族のために保存・利用するのが私的バンク。自分の子ども自身の臍帯血ですから、万が一のときに使うことができれば拒絶反応は少なく、他人のものを使うよりはより安全で高い治療効果が得られると考えられています。10年毎に更新していくシステムです。いくつかの私的バンクがありますが、ある会社では契約料(10年間保管費用)が73,500円、分離費用が147,000円で、合計約22万円必要とのこと。さらに10年後の更新料が73,500円と提示されています。
さて、皆さんはどうお考えになるでしょう。何が起こるかわからない現代社会、将来、生まれた子どもやその家族が白血病や悪性リンパ腫、再生不良性貧血などの病にかからないという保障はありません。しかしながら、その日のために“備えあれば憂いなし”と考えるには、かなりの高額です。
知人の産婦人科医のコメントでは「10年後の臍帯血の状態が不明、有効利用できるかどうかはわからない」と語っていました。もちろん、私的バンクでは安全性に配慮した最新の保存環境と謳っています。その判断は大変難しいと思います。出産というその瞬間でしかできない臍帯血採取です。母親そして父親は、生まれてくる赤ちゃんの健やかな成長を願っています。ずっと将来も変わらぬ笑顔を絶やさないことを。
自分の子でなくても、未来あるすべての子どもたちに役立つことなら、公的バンクへの寄付も意味があることだと思うのですが…。
|